バイクの車検で排ガス検査が始まった年式の基準を整理|平成11年規制以降の対象とマフラー交換の注意点!

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検査

バイクの車検で排ガス検査が何年式から始まったのかは、年式や型式、排気量によって条件が変わるため意外と分かりにくいポイントです。

この記事では、バイクの車検で排ガス検査が行われる条件や年式の目安、車検証での確認方法、マフラー交換時の注意点を整理していきます。

古い年式でも心配なく乗り続けられるケースや、逆に新しい年式だからこそ気を付けるべきポイントもあるので、マフラーを交換している人やこれからユーザー車検に挑戦したい人は特に参考にしてください。

排気量別の車検の有無や、平成11年排ガス規制と平成19年規制の違いも押さえながら、バイクの排ガス検査と上手に付き合うコツを解説していきます。

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バイクの車検で排ガス検査が始まった年式の基準を整理

エアフィルターを交換する整備士の手元

まずは、バイクの車検で排ガス検査が導入された背景や、何年式から対象になるのかという全体像を整理していきます。

排ガス検査導入の背景

バイクの排ガス規制は、四輪車より少し遅れて段階的に厳しくなってきた経緯があります。

かつては二輪車の環境負荷よりも騒音や安全面が重視されていましたが、都市部の大気環境などが社会問題になり始めたことで排出ガスの規制も強化されました。

この流れの中で、一定年式以降のバイクについては排ガス浄化装置の装備が義務化され、それに対応する形で車検ラインにも排ガス検査が組み込まれました。

つまり、排ガス検査が行われるかどうかは単に古いか新しいかではなく、そのバイクが排ガス規制対象として開発されたかどうかに結びついています。

平成11年排ガス規制の位置付け

バイクの排ガス規制の節目としてよく語られるのが、いわゆる平成11年排ガス規制です。

この規制はおおむね1999年前後に登場した新型車を境目として導入され、以降に生産された多くの中型以上のバイクが規制対象になりました。

ただし規制は「初度登録年」ではなく「その車種がどの時点の基準で型式認定を受けたか」によって決まるので、年式だけを見て単純に線を引けない点が少しややこしいところです。

そのため、平成11年前後のモデルについては、車検証の記載や型式記号を見ながら個別に判断する必要があります。

排ガス規制対象年式の目安

実務的な目安としては、2000年前後以降に登場した251cc以上のバイクの多くが排ガス規制対象となり、車検ラインでの排ガス検査の対象になっているケースが多いです。

特にインジェクション車で触媒付きマフラーが標準装備されているモデルは、基本的に排ガス規制を前提に設計されていると考えてよいでしょう。

一方で、同じ車種名でも年式によって適用される規制が異なる場合があり、古い型式は規制対象外、新しい型式から規制対象といったパターンも珍しくありません。

したがって「この年より前なら必ず排ガス検査なし」「この年より後なら必ず排ガス検査あり」とは言い切れず、あくまで目安として把握しておくことが大切です。

車検証で排ガス規制を読むコツ

バイクが排ガス規制対象かどうかを判断するうえで頼りになるのが車検証の記載です。

型式欄に特定の記号が含まれていたり、備考欄に排出ガス規制に関する文言が書かれている場合は、そのバイクがどの規制に適合しているかを読み取ることができます。

代表的な例として、型式の頭にある記号や、備考欄の「排出ガス規制適合」といった表現があり、これらが記載されていれば排ガス検査の対象である可能性が高いです。

逆に、備考欄に何も書かれておらず型式も古い記号のままの場合は、排ガス規制対象外の年式として扱われ、排ガス検査が省略されることもあります。

排気量別バイクの排ガス検査の扱い

排ガス検査が話題になるのは主に車検が必要なバイクなので、排気量区分による違いも押さえておく必要があります。

日本のバイクは、原付や125ccクラス、250ccクラス、251cc以上の小型二輪クラスというように排気量で区分されています。

法律上の車検義務があるのは基本的に251cc以上の小型二輪であり、その範囲で排ガス規制対象となる年式のバイクが排ガス検査を受けます。

排ガス規制そのものは250cc以下のバイクにも関係しますが、そもそも車検がないため、ユーザー車検の場で排ガス検査を意識する機会はほとんどありません。

古い年式バイクの検査免除パターン

古い年式のバイクの場合、排ガス規制が導入される前に型式認定を受けているため、車検ラインでの排ガス検査が省略されるケースが存在します。

この場合でも環境面の配慮が不要になるわけではなく、極端に白煙が出ている車両や明らかな不調が見られる車両は、別の観点から不合格になる可能性があります。

規制対象外の年式だからといって、極端に濃いセッティングや明らかな整備不良のまま通ると考えるのは危険です。

ただし、きちんと整備された状態であれば、古いバイクでも排ガス検査の心配をせずにユーザー車検に挑戦しやすいというメリットもあります。

排ガス検査の対象になるバイクの見分け方

車両整備のためリフトに乗せられたシルバーのコンパクトカー

ここでは、自分のバイクが車検で排ガス検査の対象になるかどうかを、排気量や年式、車検証の記載から見分ける具体的なポイントを整理します。

排気量区分別の車検義務

まずは排気量ごとに、そもそも車検が必要なのかどうかを把握しておくと全体像がつかみやすくなります。

バイクの排ガス検査は「車検ラインに乗るかどうか」と強く結びついているため、排気量による区分は最初の前提条件になります。

下の表では、代表的な排気量区分と車検の有無を簡単に整理しています。

自分のバイクがどの区分に入っているかを確認しながら読み進めてください。

区分 原付一種
排気量の目安 〜50cc
車検の有無 車検なし
代表的な呼び方 原付スクーター
区分 原付二種
排気量の目安 51〜125cc
車検の有無 車検なし
代表的な呼び方 125ccクラス
区分 軽二輪
排気量の目安 126〜250cc
車検の有無 車検なし
代表的な呼び方 250ccクラス
区分 小型二輪
排気量の目安 251cc以上
車検の有無 車検あり
代表的な呼び方 大型二輪

排ガス規制対象年式のざっくりした目安

排ガス検査の対象になるかどうかは、排気量に加えて年式も大きく影響します。

特に小型二輪クラスでは、平成11年排ガス規制以降に登場したモデルを中心に排ガス規制が適用されていると考えるのが実務的な目安です。

ここでは厳密な線引きではなく、「このあたりの年式なら排ガス検査がありそうだ」という感覚をつかむことを目的に、ざっくりとした特徴を挙げておきます。

以下のポイントに当てはまるほど、排ガス検査の対象である可能性が高まるとイメージすると分かりやすくなります。

  • 2000年代以降に登場した新型の小型二輪
  • インジェクション採用で燃費や環境性能を強調したモデル
  • 純正マフラーに触媒付きと明記されているモデル
  • 車検証に排出ガス規制に関する記載があるモデル

車検証の記載から排ガス規制を確認

排ガス検査の対象かどうかを具体的に判断するには、車検証に書かれている情報を読み解くのが最も確実な方法です。

型式欄の頭に特定の英字記号が付いている場合や、備考欄に「排出ガス規制適合」や「平成11年排出ガス規制適合」といった文言がある場合、そのバイクは排ガス規制を満たした車両として登録されています。

こうした記載がある小型二輪は、車検ラインで排ガス検査が行われ、マフラーを社外品に交換している場合には排ガス試験成績表などの証明書類が求められることもあります。

逆に、古い年式で備考欄が空欄の車両は排ガス規制対象外として扱われる場合が多く、検査ラインでも排ガス測定がスキップされるケースが見られます。

インジェクション車・キャブ車の傾向

インジェクション車かキャブ車かによっても、排ガス検査での傾向が少し変わってきます。

インジェクション車はコンピュータ制御で燃料が管理されているため、よほどの改造や故障がない限り排ガス値が安定しやすいという特徴があります。

一方キャブ車は、経年による同調ずれやニードル位置の変更、エアスクリューの調整などで燃調が大きく変わりやすく、アイドリング時のCOやHCが基準を超えてしまうリスクもあります。

特に古いキャブ車で社外マフラーやパワーフィルターに交換している場合は、排ガス検査で引っ掛からないよう事前に点火系や燃調を一度リセットしておくと安心です。

排ガス検査の検査内容

リフトアップされた車の下でオイル交換作業をする整備士

次に、実際に車検ラインで行われるバイクの排ガス検査がどのような内容なのか、測定項目や流れ、基準値のイメージを整理していきます。

検査で測定されるガス成分

バイクの排ガス検査では、基本的にアイドリング状態で排気ガス中の有害成分がどの程度含まれているかを測定します。

四輪車と同じように、環境負荷や健康被害に直結しやすい成分がチェックされると考えるとイメージしやすいでしょう。

測定対象となるのは主に次のようなガス成分で、これらが規定値以内に収まっていれば合格となります。

どの成分をどの値まで許容するかは適用されている排ガス規制の区分によって異なります。

  • 一酸化炭素(CO)
  • 炭化水素(HC)
  • 場合によっては酸素濃度などの補足情報

アイドリング測定の流れ

排ガス検査は、車検ラインの中で他の検査と同じように流れ作業の一部として行われます。

検査官から指示を受けたら、エンジンをアイドリング状態で安定させ、サイレンサーの出口に排ガス測定器のプローブを差し込まれます。

このとき、アイドリングが高すぎたり極端に不安定だったりすると正しい値が測定できないため、事前に暖機をしてアイドリングを安定させておくことが重要です。

数秒〜十数秒程度で測定値が安定し、規定値以内であればその場で合格、基準を超えている場合は再測定や整備を促されることになります。

基準値の目安整理

排ガス検査の基準値は、適用される排ガス規制の区分や二輪車の種別によって設定が異なります。

一般的には、規制が新しくなるほどCOやHCの許容値が厳しくなり、新しい年式のバイクほどクリーンな排気が求められます。

ここではあくまでイメージをつかみやすくするための目安として、古い規制と新しい規制の傾向をざっくりと表にまとめておきます。

実際の検査では車種ごとの基準に基づいて判定されるため、詳細な数値については整備工場やディーラーで確認しておくと安心です。

規制区分 旧来の基準
CO目安 数%程度まで許容
HC目安 数千ppm程度まで許容
特徴 古い年式のキャブ車が中心
規制区分 平成11年規制以降
CO目安 低めの%に設定
HC目安 旧来より低いppmに設定
特徴 触媒装着車やインジェクション車が中心

排ガス検査で不合格になりやすい症状

排ガス検査で不合格になるケースの多くは、バイクの基本的なコンディションが崩れていることが原因です。

プラグの消耗やエアフィルターの目詰まり、キャブレターやインジェクションの燃調不良など、日常整備で改善できるポイントが放置されていると排ガス値が悪化しやすくなります。

また、社外マフラーに交換した際にバッフルを外した状態で乗り続けていたり、触媒の入っていないマフラーに交換している場合は、クリーンな燃焼をしていても数値的に基準を超えることがあります。

少しでも心配がある場合は、事前にテスター完備のショップで簡易測定をしてもらうか、最低限の消耗品交換や燃調の見直しを済ませてから車検ラインに臨むと安心です。

年式ごとのマフラー交換時の排ガス検査注意点

車のホイールナットを締める整備士の手元

ここでは、年式ごとにマフラー交換と排ガス検査の関係がどう変わるのかを整理し、社外マフラー装着車が車検を通すうえで意識すべきポイントを解説します。

規制対象外年式のマフラー交換

排ガス規制が導入される前の年式のバイクは、形式上は排ガス規制対象外として扱われるため、純正マフラーから社外マフラーに交換していても排ガス検査自体が行われないことがあります。

この場合でも、極端に音量が大きいマフラーや明らかな不正改造マフラーは騒音や保安基準の観点から不合格になる可能性があるため注意が必要です。

また、規制対象外だからといって何をしても良いというわけではなく、路上を走行する以上は周囲への配慮や最低限のマナーを守ることが求められます。

古い年式のカスタム車は「静かで調子の良い状態」に仕上げておくことで、検査官の心証も良くなりスムーズに車検を通しやすくなります。

平成11年規制以降のマフラー選び

平成11年排ガス規制以降の年式に分類されるバイクは、純正マフラーに触媒が組み込まれていることが多く、社外マフラーに交換する際のハードルが一気に上がります。

排ガス規制対象車で触媒付き純正マフラーから社外マフラーに交換する場合、多くのケースで排ガス試験成績表や政府認証マフラーであることを示す書類が必要になります。

こうした書類がないマフラーの場合、排ガス値そのものは問題がなくても、書類不備として車検に通らないリスクがある点は見落としがちです。

次のような観点を意識してマフラー選びを行うと、車検のたびに悩まずに済みます。

  • 政府認証マフラーかどうか
  • 排ガス試験成績表の有無
  • 触媒付きかどうか
  • 車種専用設計かどうか

平成19年規制以降の注意点整理

平成19年排ガス規制は、平成11年規制よりさらに厳しい基準が導入された段階であり、この規制に適合したバイクは排ガス浄化性能が一段と高められています。

マフラー交換時のルールも厳格になり、政府認証マフラーであっても車種ごとに細かく適合が分かれているため、年式違いの流用などは避けた方が安全です。

感覚的には「平成19年規制以降の車両は、排ガス関係の書類が揃っていないマフラーは選ばない」というくらいの慎重さがちょうど良いと考えておきましょう。

以下の表では、平成11年規制と平成19年規制の違いをマフラー交換の観点から簡単に整理しています。

規制区分 平成11年規制
排ガス基準 従来より厳しいが余裕あり
マフラー交換 政府認証品と成績表の確認が重要
特徴 触媒付き純正マフラーが普及
規制区分 平成19年規制
排ガス基準 さらに厳格なクリーン基準
マフラー交換 車種専用の認証マフラーが前提
特徴 書類不備に特に注意が必要

社外マフラー選びの実務ポイント

実際に社外マフラーを購入するときは、カタログの文言だけでなく、車検証や年式と照らし合わせながら慎重に選ぶことが重要です。

インターネットのレビューやショップのブログなどでは「このマフラーで車検に通った」という体験談が多く見られますが、車種や年式、検査場によって対応が異なることもあります。

一番確実なのは、メーカー公式が「車検対応」「排ガス規制適合」などと明記しているマフラーを選び、その上で付属の書類を保管しておくことです。

どうしてもグレーなパーツを使いたい場合は、ユーザー車検だけでなく認証工場やディーラーの助言も受けながら、自己責任で判断する姿勢が必要になります。

バイクの排ガス検査のポイントを押さえて安心して車検を迎える

整備士がタイヤを持ち上げて作業する様子

バイクの車検で排ガス検査が何年式から始まったかという疑問は、排気量や年式、適用される排ガス規制によって答えが変わるため、一言で説明するのが難しいテーマです。

実務レベルでは、車検が必要な251cc以上のバイクのうち、平成11年排ガス規制以降に登場した年式を中心に排ガス検査の対象になっているとイメージしておくと整理しやすくなります。

自分のバイクが排ガス検査の対象かどうかをより正確に知りたい場合は、車検証の型式欄や備考欄に排出ガス規制に関する記載があるかどうかを必ず確認する癖を付けておきましょう。

また、社外マフラーを装着している場合は、政府認証マフラーかどうかや排ガス試験成績表の有無が車検の合否に直結するため、購入時の説明書や付属書類を大切に保管しておくことが安心につながります。

最後に、どんな年式のバイクであっても、プラグやエアフィルター、燃調などの基本的なコンディションを整えておくことが、排ガス検査を含むすべての車検項目をスムーズにクリアする一番の近道です。

年式ごとのルールをおさえ、整備と書類をしっかり準備すれば、排ガス検査を過度に怖がる必要はなく、自信を持って次の車検に臨めるようになります。