キャンピングカーを自作するときに一番不安なのは「車検に通るのか」「どこまで作り込むと構造変更が必要なのか」という点です。
結論から言うと、保安基準に適合していて、必要な手続きを踏めば自作でも車検は通せます。
ただし、内装の作り方や装備の固定方法を間違えると、当日に指摘されて手戻りになりやすいです。
この記事では、8ナンバーの構造要件の考え方から、構造等変更検査の段取り、落ちやすいポイントまでを順番に整理します。
キャンピングカーを自作して車検を通す7つの要点を押さえよう
自作キャンピングカーで車検を通すには、先に「登録のゴール」と「改造の影響範囲」を固めるのが近道です。
見た目の完成度よりも、寸法・重量・乗車定員・安全装置・固定方法が問われます。
ここでは、手続きと製作を同時に迷わないための要点を7つに分けて並べます。
最初に車検証の用途と定員を読み解く
自作の方向性を決める前に、現状の車検証で「用途」「車体の形状」「乗車定員」「最大積載量」を確認します。
同じハイエースでも乗用ベースか貨物ベースかで、改造の扱いと説明の筋道が変わります。
定員を減らすのか維持するのかでも、就寝設備の必要数やシートベルト周りの話が変わるため、最初に決めておくと手戻りが減ります。
8ナンバーにするか現状ナンバーで通すか決める
自作キャンピングカーは、必ずしも8ナンバーにしないと車検に通らないわけではありません。
一方で、居住設備としての要件を満たして8ナンバー化すると、説明が明確になりやすい反面、装備要件を満たす必要があります。
どちらが得かは車種・使い方・保険料・税区分・検査の通し方で変わるので、次の章で判断基準を具体化します。
就寝設備の寸法は「大人が寝られるか」を数値で示す
就寝設備は「それっぽいベッド」ではなく、寸法や形状の要件として見られます。
大人用の就寝部位は、連続した平面で長さ1.8m以上かつ幅0.5m以上など、数値要件を満たす設計が必要です。
折りたたみ式でも認められる考え方はあるので、展開状態で要件を満たすように寸法を取り、図面と写真で示せるようにします。
水道設備と炊事設備は「ある」だけでなく「使える配置」にする
8ナンバーのキャンピング車として見せるなら、水タンク容量や洗面台の扱い、調理台の平面サイズなども要件化されています。
さらに重要なのは、車内で容易に使用できる位置にあるか、利用時の有効高さが確保できているかという「使い勝手の要件」です。
シンクやコンロが収納の奥にあって正対できない配置だと、説明が難しくなるので、最初から検査目線でレイアウトを決めます。
固定の考え方を統一して「脱着式」の扱いに注意する
車検で揉めやすいのは、内装が安全に固定されているか、走行中に危険がないかという点です。
工具なしで動く棚や、急制動で飛び出しそうな物入れは、強度や固定方法を問われやすいです。
脱着式の装備を多用する場合は、重量の扱いや、検査時にどの状態で提示するかを事前に決めておきます。
重量・寸法・定員の変化があるなら構造変更の前提で動く
内装を作り込むと、車両重量や乗車定員、場合によっては全高などが変わります。
この変化が一定幅を超えると記載変更ではなく構造等変更検査が必要になるため、完成後に慌てないように途中で重量を見積もります。
サブバッテリーや家具を追加していくと積み上がるので、目標重量と装備の上限を先に決めておくと安定します。
当日の検査は「現車+書類+説明」の3点セットで通す
自作車の検査は、現車の状態だけでなく、変更点が分かる書類と説明が揃うと通りやすくなります。
写真は「展開前後」「固定箇所」「配線・配管の保護」「換気・耐熱」「シートベルト周り」など、指摘されやすい所を先に撮っておきます。
検査官に短い言葉で説明できるように、要点をメモにして持ち込むと焦らず対応できます。
8ナンバー化を選ぶときに考える判断軸
8ナンバーは「キャンピング車」としての用途が明確になり、説明が通りやすい一方で、装備要件を満たす設計が必要です。
反対に、現状のナンバーで通す場合は装備の自由度が高い反面、装備の固定や安全性の説明が重要になります。
ここでは、迷いやすいポイントを判断軸として整理します。
税金と保険の変化を先に把握する
登録区分が変わると、重量税や自賠責、任意保険の扱いが変わることがあります。
損得は車両区分と年式、使用目的で変わるため、改造前に見積もりや条件確認をしておくと安心です。
区分変更後に想定外の費用が出ると計画が崩れるので、最初に数字を押さえます。
8ナンバーで求められやすい装備の全体像
キャンピング車として説明するなら、就寝設備・水道設備・炊事設備などをセットで説明できる構成が望ましいです。
要件を満たす装備は「豪華さ」ではなく「機能として成立しているか」が見られます。
- 就寝設備:人数と寸法
- 水道設備:給水タンクと洗面台
- 炊事設備:調理台とコンロ
- 換気:火気周りの通風
- 固定:走行時の安全性
居住設備の面積要件とレイアウトの落とし穴
シンクや調理台、コンロといった設備は、単体で置くだけでなく、使うための場所を含めた考え方で見られます。
通路を潰しすぎると「使える配置」の説明が難しくなるため、立って作業する位置や正対できる位置を残します。
ポップアップルーフ等で有効高さを確保する考え方もあるので、車種に合う方法を選びます。
8ナンバー化の手続きで必要になりやすい資料
構造等変更検査では、変更内容が分かる資料があるほど説明がスムーズです。
特に座席やシートベルトに関わる変更は厳しく見られやすいので、根拠を揃えておきます。
| 準備物 | 変更内容の写真 |
|---|---|
| 寸法資料 | ベッドと調理台の寸法メモ |
| 固定根拠 | 固定金具の仕様と取り付け写真 |
| 配線配管 | 保護材と取り回し写真 |
| 当日用 | 説明メモとチェック用紙 |
自作内装で車検に落ちやすいポイント
自作キャンピングカーの車検で落ちやすいのは、装備そのものより「安全性」と「固定の確実性」です。
見た目がきれいでも、急制動や衝突時に危険があると判断されると通りません。
よくあるNG例を先に知って、製作中に潰しておくのが効率的です。
座席と就寝設備の兼用で隙間ができる
座席を倒してベッドにする構造は作りやすい反面、面が連続しない、段差や穴が残ると要件説明が難しくなります。
就寝面が平面になる設計と、展開後に隙間が出ない作り込みが重要です。
クッションで埋めるだけの方式は説明が弱くなりがちなので、構造として成立させます。
シンクや調理台が「使える位置」にない
収納型にすると車内が広く見えますが、検査目線では「容易に使用できる位置か」が問われやすいです。
正対して使えない配置や、足元が段差だらけの配置は指摘される可能性があります。
展開手順が複雑な場合も説明が長くなるため、シンプルな動線に寄せます。
火気周りの耐熱と換気が弱い
コンロを付けるなら、周囲の素材が熱で変形しないか、燃えやすい物が近くにないかを見直します。
窓や換気扇など、必要な換気が行えることも重要です。
見た目重視で木材を近づけると危険なので、耐熱板や距離で安全側に倒します。
走行中に飛ぶ可能性がある装備が残る
棚の扉、引き出し、冷蔵庫もどき、収納ボックスなどは、走行時にロックできるかが大切です。
工具不要で取り外せる物が多いと、固定の説明が難しくなることがあります。
安全側に寄せるなら、固定金具とロック機構を優先して作ります。
- 扉:走行ロック
- 引き出し:抜け止め
- 荷物:固定ベルト
- 配線:保護チューブ
- 角:保護材で処理
ユーザー車検と業者依頼の選び方
自作キャンピングカーの車検は、ユーザー車検で挑戦する人も多い一方、構造変更を含むと不安も増えます。
どちらが正解というより「自分が説明できる範囲」と「時間コスト」で選ぶのが現実的です。
ここでは、迷いどころを比較して決めやすくします。
ユーザー車検が向く人の特徴
自分の改造内容を自分の言葉で説明できて、指摘に合わせてその場で微調整できる人はユーザー車検と相性が良いです。
日程調整の自由度が高く、費用を抑えやすいのもメリットです。
一方で、書類不備や想定外の指摘があると再検査になり、時間が溶けます。
業者依頼が向く人の特徴
シートベルトや座席の追加、ガス配管など責任が重い部分に触れる場合は、業者の知見が安心材料になります。
検査の通し方に慣れているため、説明の組み立てが速いのも強みです。
ただし、依頼範囲と費用が膨らみやすいので、どこまでを自作として残すかを決めてから相談します。
構造変更の難易度で判断する
見た目のDIYと、登録情報に関わる改造は難易度が別物です。
乗車定員の変更や座席の追加、シートベルトの扱いに踏み込むほど、説明の難度が上がります。
不安が強い部分だけスポットで相談し、内装は自作するという分け方も現実的です。
比較で決めるための早見表
迷ったら、費用だけでなく「再検査の確率」と「平日の時間」を含めて比較すると判断しやすいです。
自作キャンピングカーは完成後の微修正が出やすいので、柔軟性も評価に入れます。
| 観点 | 判断の目安 |
|---|---|
| 費用 | 抑えたいならユーザー寄り |
| 時間 | 平日が厳しいなら業者寄り |
| 説明力 | 自分で説明できるならユーザー寄り |
| 改造範囲 | 定員や座席に触れるなら業者寄り |
| 再検査耐性 | 通い直せるならユーザー寄り |
車検前に整えておきたい安全と書類の段取り
自作キャンピングカーは、検査当日の出来栄えよりも、事前の段取りで合否がほぼ決まります。
特に「安全」「固定」「配線配管」「寸法」の4点は、早めに整えておくほど楽になります。
最後に、当日までにやることを実務としてまとめます。
固定と角処理は先に終わらせる
家具や棚は、走行時に動かないことを説明できる固定が必要です。
さらに、角が鋭い部分は乗員保護の観点で見直されやすいので、保護材や面取りで安全側に寄せます。
見た目より安全を優先したほうが、結果的に再製作が減ります。
- 家具:ボルト固定
- 扉:走行ロック
- 角:面取りか保護材
- 床:滑り止め
- 荷物:固定ポイント
電装は配線保護とヒューズで説明力を上げる
サブバッテリーやインバーターを積むなら、配線の太さと保護が安全性の中心になります。
配線が露出して擦れそうな所は保護チューブを使い、ヒューズやブレーカーで過電流対策を入れます。
図面がなくても、写真で「保護している」ことを見せられると説明が短く済みます。
水回りと火気は「漏れない・燃えない・換気できる」で整える
水道設備は漏れないこと、排水を受けられること、タンク容量が条件を満たすことが大前提です。
炊事設備は耐熱性と換気、燃料タンクの隔離や通気など、火災リスクを潰した構成が求められます。
怖いのは当日に直しにくい部分なので、製作中に安全側の素材と配置を選びます。
当日に困らない書類と持ち物を揃える
検査場で慌てる原因は、工具不足と資料不足がほとんどです。
その場で調整できるように、最低限の工具と、寸法メモや写真をスマホと紙で用意します。
書類は受付で差し戻されると全体が遅れるので、前日に一式をまとめておきます。
| カテゴリ | 準備内容 |
|---|---|
| 工具 | レンチ・ドライバー・結束バンド |
| 資料 | 展開写真・固定写真・寸法メモ |
| 予備 | ヒューズ・端子・耐熱テープ |
| 安全 | 消火器・手袋・養生材 |
| 書類 | 必要書類一式と筆記具 |
自作キャンピングカーの車検で迷わないための道筋
自作で車検を通すコツは、先に登録のゴールを決めて、要件を「寸法」「配置」「固定」「安全」で説明できる形に落とし込むことです。
8ナンバー化を狙うなら、就寝設備・水道設備・炊事設備の成立を、数値と写真で示せるように作るのが近道です。
現状ナンバーで通す場合でも、走行中の安全と固定を強く意識して作れば、検査での指摘は大きく減ります。
まずは車検証の確認から始めて、改造範囲と必要手続きを紙に書き出し、完成前に一度チェックの時間を作ってから当日に臨んでください。

