予備タイヤの車検基準と保安要件|外す前に知るべき注意点を整理しよう!

自動車のトランスミッション内部構造の断面図
検査

車検を前に「予備タイヤがないと落ちるのでは」と不安になる人は少なくありません。

結論から言うと、多くの乗用車では予備タイヤそのものの“搭載”が合否を直接左右する場面は多くありません。

ただし、車体の外側に付くタイプや、大型車の落下事故対策として点検が義務化されたケースなど、例外と注意点があります。

このページでは、道路運送車両の保安基準や関連資料に触れながら、車検で困りやすいポイントを具体的に整理します。

「外していいのか」「載せるなら何に気をつけるのか」「当日に不合格になりやすい落とし穴」を、順番に潰していきましょう。

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予備タイヤの車検基準と保安要件

テスターで車の電圧を測定する整備士

最初に押さえるべきなのは、車検で見られるのは「走行に必要な装備が保安基準に適合しているか」であり、予備タイヤは原則として“応急装備”扱いになりやすい点です。

そのうえで、車種や取り付け位置によっては、外装の突起や表示類の見え方が変わり、別の観点で不適合になることがあります。

ここでは、予備タイヤの有無を判断するための基準線を、誤解が生まれやすい順に整理します。

搭載が必須かどうかの基本線

多くの乗用車では、予備タイヤの搭載そのものが車検の合否要件として固定で求められる考え方ではありません。

新車時から応急修理キットのみで販売される車が増えていること自体が、搭載を前提にしていない実態を示しています。

一方で、車検で見るのは「現に装着して走るタイヤ」なので、予備タイヤの有無よりも現装着タイヤの状態が優先されます。

不安な場合は、受検先に「予備タイヤが非搭載の仕様か」「外装キャリアがあるか」を先に伝えるのが早道です。

外して通るケースの考え方

車内搭載型の予備タイヤを外しても、他の保安基準に影響がなければ、それだけで不合格になる筋ではありません。

ただし、検査の一部で寸法や重量の計測が必要なときは、空車状態として携行品を取り外す扱いが示されており、予備タイヤも対象になり得ます。

計測が絡むケースでは、指示に従って一時的に降ろすだけで済むことが多いです。

参考として、審査事務規程の関連資料に「スペアタイヤ等を取外した空車状態」との記載が見られます。

背面タイプで起きやすい落とし穴

背面に予備タイヤが付く車は、タイヤ自体よりも、外側に出る構造物としての安全性が焦点になります。

外した結果、キャリアの角が露出したり、カバーの固定が甘くなったりすると、別項目で不適合の原因になります。

また、ナンバープレートや灯火類の視認性が変わる改変は、予備タイヤとは無関係でも厳しく見られます。

外すなら、露出部分を含めて「突起」「鋭い縁」「表示の見え方」をまとめて点検してください。

応急用の扱いと保安基準の関係

応急用の予備タイヤは、通常走行用とは別の使用条件を前提に定義されている資料があります。

たとえば、応急用スペアタイヤやTタイプ応急用スペアタイヤといった区分や、想定空気圧の取り扱いが示されています。

これは「通常の走行条件で恒常的に使うタイヤ」とは性格が違うことを意味します。

予備として積む分には問題になりにくい一方、装着して受検する場合は別の判断が入りやすくなります。

装着して受検するときの注意

車検は“今その状態で走る車”として検査されるため、装着されているタイヤが基準に適合している必要があります。

応急用タイヤはサイズや銘柄が通常タイヤと違うことが多く、同一軸の左右差が大きい状態は避けるのが無難です。

パンクで応急用を履いたまま受検する予定なら、先に通常タイヤへ戻すか、受検先へ事情を伝えて判断を仰いでください。

少なくとも、溝・損傷・はみ出しといった基本項目は通常タイヤと同じ目線で見られます。

応急修理キットで代替する場合

応急修理キットを積載して予備タイヤを省く車は増えており、その使い方や注意点は公的機関の資料でも整理されています。

応急修理キットは万能ではなく、損傷の位置や程度によって使えないケースがあります。

車検の合否というより、路上トラブル時の復旧手段としての適合性を、日常の備えとして確認する意義が大きいです。

参考資料として、国民生活センターの注意喚起が公開されています。

受検前に混乱しやすい勘違い

「予備タイヤがない=不合格」と短絡するより、「今ついているタイヤが基準に適合しているか」に立ち返るのが正解に近いです。

予備タイヤの有無は、車体の外装構造や大型車の点検義務など、別ルートで問題化しやすいと理解してください。

迷ったら、予備タイヤの位置と固定方法、外した後の露出部、装着状態のタイヤ4本の状態を分けて見ます。

この切り分けだけで、相談時の説明も速くなります。

保安基準で見られるタイヤ要件

自動車のエンジンルーム内部のクローズアップ

予備タイヤの議論に入る前に、車検で確実に見られるのは「装着タイヤの状態」です。

溝・損傷・サイズ・はみ出しなどの基本が崩れていると、予備タイヤがどうであれ合格ラインに乗りません。

ここでは、整備経験が少なくても判断しやすい形で要点を並べます。

合否に直結しやすい劣化

溝が少ない、ひび割れが深い、コードが見えるなどは、不適合の代表例です。

特に溝は、摩耗限度表示(スリップサイン)が出ているかどうかで判断されやすいです。

年数が浅くても、空気圧不足で偏摩耗が進むことがあります。

受検前に空気圧を規定値に戻し、接地面の偏りを目視しておくと安心です。

タイヤの外側はみ出し

タイヤやホイールが車体から外側に出すぎると、保安基準上の不適合に触れやすくなります。

市販のホイール交換やスペーサー装着後に起きやすいので注意が必要です。

基準の考え方や測定イメージは、カー用品店の解説でも図解されていることがあります。

不安なら、受検前に現車確認を受けるだけでもリスクを大きく減らせます。

受検前に見直す優先順

タイヤは一箇所の不適合で落ちることがあるため、見直す順番を決めておくと効率的です。

まずは装着4本の状態を揃え、次に予備装備や固定部へ進みます。

短時間で確認するなら、次の順に当てはめるのが現実的です。

  • 溝の残り
  • 亀裂
  • 異物刺さり
  • 空気圧
  • 偏摩耗
  • はみ出し
  • ナット緩み

タイヤ項目の早見表

受検前に整備工場へ相談するときも、項目を言語化できると話が早く進みます。

代表的な確認観点を、短いフレーズでまとめます。

観点 損傷 空気圧
合格側の目安 摩耗限度未満 深い裂けなし 指定値付近
不適合の例 スリップサイン露出 コード露出 極端な低圧
起きやすい原因 過走行 縁石ヒット 自然減圧

応急用タイヤの扱いを誤らない

ボンネットを開けた車のエンジンルーム全景

予備タイヤが「応急用」として設計されている場合、扱い方を誤ると安全面で問題が出ます。

車検というより、受検前後の移動でリスクを増やしてしまうのが典型です。

ここでは、応急用の考え方と、受検当日の判断基準をつなげて整理します。

Tタイプの性格

応急用スペアタイヤは、通常走行用とは別の走行条件を前提にした区分として示されています。

資料には「Tタイプ応急用スペアタイヤ」などの表記や、扱いの前提が整理されています。

たとえば、空気圧の指定が高めになる前提が示されることがあります。

積んでおく装備としては合理的でも、常用するものではない点が重要です。

受検当日に応急用を履いている場合

応急用を履いた状態で検査ラインに入ると、サイズ差や左右差が大きく見えることがあります。

検査は現状の装着状態を見ていくため、基本は通常タイヤへ戻してから受検するのが堅実です。

やむを得ない場合は、受検先へ事前に状況を伝え、対応方針を合わせてください。

無断で持ち込むより、相談しておく方が当日の手戻りが減ります。

応急修理キットの向き不向き

応急修理キットは、釘やネジが刺さった程度の軽度な損傷を想定したものが一般的です。

側面の損傷や裂けなど、条件によっては使えないため、過信は禁物です。

国民生活センターの資料でも、応急修理キットの注意点が整理されています。

国民生活センターの注意喚起資料を一度読んでおくと、備えの精度が上がります。

装備の選び替えを判断する表

予備タイヤ派か、応急修理キット派かは、生活圏と使い方で最適解が変わります。

判断材料を短く並べ、家族や社用車でも共有しやすくします。

前提 長距離移動が多い 市街地中心 荷室を優先
相性が良い傾向 予備タイヤ キット併用 キット
注意点 固定部の点検 使えない損傷 再走行の制限
備えの追加 空気圧管理 手袋 ロードサービス

外装や固定で落ちる典型

インパクトレンチでホイールナットを締める整備士の手元

予備タイヤの“有無”で落ちるというより、予備タイヤが絡む構造変更や固定不良が、別項目で問題になることがあります。

特に背面キャリアや車外ブラケットは、突起や落下リスクの観点で見られやすいです。

ここでは、受検前に自分で潰せる典型パターンを挙げます。

固定の緩み

固定が緩いと、走行中に落下事故につながりかねません。

大型車ではスペアタイヤ点検が制度化された背景があり、落下の危険性が重視されています。

乗用車でも同じリスクはあるため、キャリアの締結部やロックを点検してください。

異音やガタつきがあれば、受検前に整備工場で増し締めの確認を推奨します。

露出した角や突起

予備タイヤを外した後に金具の角が露出すると、歩行者保護の観点で指摘を受けやすくなります。

純正状態から部品を外している場合は、残った部分が安全な形状かを見直してください。

カバーやキャップが欠けているだけでも印象が悪くなります。

「外すか残すか」ではなく「安全な形で成立しているか」を軸に判断します。

受検前の点検ポイント

外装のトラブルは、言い換えると“目視で見つけられる”ものが多いです。

車の周りを一周して、触って確認できるポイントを絞ります。

次の観点で見ていくと、漏れが減ります。

  • キャリアのガタ
  • ロックの作動
  • ボルト欠落
  • カバー破損
  • 角の露出
  • ナンバー視認
  • 灯火の遮り

外装絡みのリスク早見表

「どれが危ないのか」を短く共有できるよう、典型をまとめます。

判断に迷う場合は、整備工場へこの表の言葉で相談すると通じやすいです。

状況 ガタつき 角の露出 表示の遮り
主なリスク 落下 接触危険 視認性低下
対処の方向 増し締め カバー補修 取付見直し
相談先の例 整備工場 板金 整備工場

大型車の点検義務を知っておく

高性能エンジンのインテークパイプと補器類のクローズアップ

大型車では、スペアタイヤの落下事故を背景に、使用者に対する定期点検の義務が明確化されています。

乗用車の感覚でいると見落としやすいため、事業用車両を扱う場合は特に注意が必要です。

ここでは、義務化の内容を誤解しないための要点だけをまとめます。

義務化の対象

国土交通省の発表では、車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上の大型自動車について、スペアタイヤの定期点検が義務づけられています。

開始時期は平成30年10月1日と示されています。

対象車両の運用者は、点検の実施と記録を含めた管理が必要になります。

国土交通省の発表で対象と趣旨を確認できます。

点検で見る観点

点検の狙いは、スペアタイヤが容易に外れてしまう状態を防ぐことにあります。

固定装置の状態や締結部の緩みは、短時間でも確認できる項目です。

運行前点検の流れに組み込むと、やり忘れが減ります。

次の観点を定期点検の型として持っておくと便利です。

  • 固定装置の破損
  • 締結部の緩み
  • 脱落防止の状態
  • キャリアの変形
  • ロック機構の作動
  • タイヤの位置ずれ

実務で使える整理表

事業車両では、点検の抜け漏れが事故リスクに直結します。

現場で回しやすい粒度に落としておきます。

区分 対象 頻度 主な狙い
制度の骨子 大型車 3か月ごと 脱落防止
確認部位 固定装置 目視中心 緩み発見
根拠の確認先 国交省発表 随時 要件把握

要点を押さえて受検前の不安を消す

黄色い車のエンジンルームとラジエーターのクローズアップ

多くの乗用車では、予備タイヤが“ない”こと自体で車検が直ちに不合格になる考え方ではありません。

合否に直結しやすいのは、現に装着して走るタイヤ4本の溝・損傷・空気圧・はみ出しなどの基本要件です。

背面タイプは、外装の突起や固定状態、表示類の見え方といった別観点で問題化しやすいので、外すなら安全形状まで含めて整えます。

応急用タイヤや応急修理キットは「応急」の前提を忘れず、受検当日に装着しているなら事前相談で手戻りを避けてください。

大型車はスペアタイヤ点検が義務化された枠組みがあるため、事業用では制度としての管理まで含めて準備するのが確実です。